歯医者によって磨き方が違う。結局、どうすればいいの?
ある患者さんから、こんなお話を伺いました。
昔から虫歯が続き、なんとかしたいと思って、知り合いに勧められた歯科医院を何件も回ってこられたそうです。
行く先々で磨き方を教わるものの、医院によって言われることが違う。
以前教わった方法を、別の医院では否定される。
そうした経験が重なり、何をしたらよいのか、正解が分からなくなってしまったとおっしゃっていました。
歯を大切にしたくて、相談し、教わったことを続けてきた。
それなのに違うことを言われたら、戸惑うのは当然です。
【磨き方だけでなく、理由も伝える】
磨き方や道具には、いくつもの選択肢があります。
歯並びや、お口の状態や、どこを改善したいかによって、提案が変わることもあります。
一人一人の器用さも、丁寧さも違います。
こちらがお伝えしたことも、相手がきちんと消化できていないことも多いです。
あれ?そんなふうに受け取られたのね、と気づくことも多いのです。
だからこそ、「この方法で磨いてください」だけでは、説明が足りないのだと思います。
今、どこに問題があるのか。
なぜ、その道具や磨き方を勧めるのか。
何が変われば、うまくいっていると判断できるのか。
そこまで分かって、初めて納得して取り組めるのではないでしょうか。
【日常のケアと、お口の変化を一緒に確かめる】
そして、私たちにも分からないことがあります。
それは、患者さんが家で毎日、どんなふうに磨いているかです。
基本的に皆さんお忙しいですから、ながら磨きが多いです。
診療室で見せていただくときは、普段より丁寧な「よそ行きの磨き方」になることもあるでしょう。
その場だけで、すべてを把握することはできません。
私は、以前の写真や検査結果と比べ、数年にわたる歯ぐきの変化や、汚れの残り方を見ています。
「歯ブラシを替えました」
「教わったので、ここを念入りに磨いています」
そんな言葉とお口の変化を合わせて、日常で何が起きているのかを考えます。
必要なら方法を調整し、その後の経過を確かめます。
道具が変わることもあります。
以前の指導を否定して、新しい正解を押し付けたいわけではありません。
あなたが続けてきた努力を、これから歯を守ることにつなげたいのです。
「結局、どうしたらいいの?」
その疑問を置き去りにせず、一緒に考え、結果を確かめていく。それも、メンテナンスの大切な役割だと思っています。
【道具の使い方も、一人一人に合わせて】
例1)
たまにすごく集中してしまう患者さんがいます。
初回は、歯ブラシの当て方に注意してください、フロスはまだね、とお伝えしましたが……。
フロスをしっかりやる気持ちが強すぎて、歯肉がヒリヒリするほど徹底してやってきた方がいました。
手が腱鞘炎になったというお話もあり、びっくりしました。
例2)
前歯がガタガタな並びで、歯間ブラシがゴリッとなる。
一番細い歯間ブラシが、すぐにだめになる、とおっしゃっていました。
試しに歯間ブラシを入れてみると、ゴリッとなりません。
隙間にまっすぐ入れたら、ブラシの毛が気持ちよく当たります。
この方の場合は、斜めに入れたり、横に引っ張ったりすると、針金が当たってゴリッとなります。
今までは、デントEXの4Sを使っていました。
これは、L字型です。
今回は、クラプロックスのストレート型にしました。
まっすぐ入れやすくすることで、ゴリッとする感触や毛のつぶれが減り、長持ちすることを期待しています。
